「紹介状を書いてもよろしいでしょうか?」

「紹介状?」

「はい。先生宛に私の署名入りの紹介状です。場合によっては商談を待っていただくこともありますので、これをお持ちいただくと父にもスタッフにもスムーズに話が通りますので、面会も早いかと思います。父たちにも事前に伝えておきますのでその点でも有利だと思います」

「でも、紹介状をもらっても、その気になるとは限りませんよ」

「よろしいですよ。ゆっくりと考えて頂いて、必要がないと思われたのなら捨てていただいて構いません」

 慎重になることは良いことです。

「わかりました。よろしくお願いします」

「それでは、近いうちにお届けしますので、ご検討のほどよろしくお願い致します」

 私の言葉を信用していただけたようで安堵しました。よかったです。
 王宮で商談するとは思ってもみませんでしたけど。
 肩の荷が下りたような、一仕事終わった感じです。
 先生は残っていた紅茶を飲み干すと部屋を出て行きました。

 それと入れ違いに顔を出されたのはレイ様でした。
 いらっしゃったのですね。すっかり、忘れてました。