その後もたわいのない話をしながら
学校に着きました。


私たちはそれぞれの席につき、一限の用意をしていました。



すると、花咲くんが



「ごめん、夢乃サン
一限の数学忘れてきたみたいで…
もし使う時が来たら、その時少し見せてくれない?」


と、申し訳なさそうに言った星咲くん。




「も もちろん、全然大丈夫だよ」



「ほんとごめん、ありがと」




花咲くん
教科書忘れることもあるんだ…なんか意外だなぁ


と、クスッと笑ってしまいました





一限が始まるチャイムがなり、授業が開始されました。




[えー、ここの代入だが
説明文は教科書をよく写しておくように。]


そう先生が告げると、みんなが教科書を開いてペンを走らせました



私も急いで教科書を開いた時




先生が



[なんだ花咲、教科書忘れたのか。
珍しいから今回は見逃すけど、次はないからな〜]


「すみません」



[教科書は隣の夢乃に借りろ〜]



そう言われ、机をくっつける形で
お互い教科書を使いました



「ごめんね夢乃サン」



「全然、どうぞどうぞ」


そう言って教科書を2人の真ん中に置いて
私達もようやくペンを走らせていました。





なんか…


近いからかな


無駄に緊張するなぁ。




そう思いながら教科書を見ていました



トンっ




不意に花咲くんの手が私の手と当たってしまいました


「っ、ごめん」



不意打ちすぎて、思わずまた真っ赤に赤面してしまいました。



いつもながら申し訳ありません…

心の中で花咲くんに何度も謝っていました




すると花咲くんは、


クスッと笑って




「夢乃サン、真っ赤だよ」



「ごめんなさい…」



「なんで謝るの?」



「へ、」




私がビックリする間も与えず


彼は小声で


私の耳元で




「すぐ赤くなるところ、かわいい」



と言いました




「えっ、いやあの」



戸惑いを隠しきれず


真っ赤に染まっていく自分の顔





「ごめんね、困らせるつもりはないんだよ」





そう言ってニコッと笑った彼は、


また教科書に目を落としました






ずるすぎます、星咲くん







一限が終わるまで、自分の顔が熱い感覚は冷めないままでした。