「あ、傘ないな」




完全に忘れてた…






どうしよう…と悩んでいた時







「夢乃サン」






この声は。







「星咲くん」






どーしたの?帰ってなかったんだ





「傘取ってきたんだよ」



夢乃サン帰るとこでしょ?駅まで行こ






星咲くんが傘をバサッと広げました





「うん、一緒に帰ろ」




雨の中を歩いていこうとすると



グイッと星咲くんの腕の中へ引き寄せられました



突然の事で


なかなか理解が追いつかず




顔は真っ赤に染まっていました




「何してるの、風邪ひくよ」



傘ないなら言ってよ、一緒に使うよ





そう言って、私を傘に入れてくれました





でも、嬉しいけど…




それどころでは無いです星咲くん。




腕の中に収まってます。


柑橘系の香りがフワッと香り、余計に頬が染まっていくのが分かる




雨のせいか、匂いが余計敏感に伝わってきて


正直もう既に倒れそうなくらいです…。




「ああ、ありがとう。でも、今…」



「どーしたの?」



とわざとらしくニコッと笑った星咲くん




「もう!か、からかうのやめてよ!
恥ずかしいから!離れて!傘ありがと!」





少し胸元を押すように力を込めると、



すんなり腕の中から抜け出すことが出来ました