そうして、次に衣装替えした彼の出番が来た時には、いつものリュウセイの演技に戻っていた。
ミサはほっとする。
(良かった……リュウちゃんはやっぱり演技が上手ね)
というよりも、今まで以上の圧倒的な演技を彼は見せはじめていた。
周囲の観客たちの、ほっとしたため息が聴こえてくる。
ひそひそ話をしていた人々も、息を呑み、舞台にのめり込んでいった。
観客一体となって固唾を呑む。
さすがリュウセイ、主演を貼るだけはある。他を圧倒した演技。
(なんだかリュウちゃん以外の人たちも……)
助演達も彼の熱に飲まれていたようだ。
もう客たちは、熱気の渦へと誘い込まれてしまっていた。
テレビで見かけたことのある評論家がぽつりと呟く。
「周りも大神に引きずられて、良い演技をしているな」
そうしていよいよ物語は終盤。
戦争から帰還した主役とヒロインが浴衣姿で寄り添いあう。
最高潮を迎えたまま、物語は終結したのだった。
最初はシンと静まり返っていた。
だけど、どこかから拍手や感想が漏れてくる。
「すごかった!」
「大神さん!」
舞台は盛況のうちに終わる。
観客たちの拍手が鳴りやまない。
中には「顔だけじゃなかった」「本当に実力があるんだろうな」と悔しがる声まであがった。
そんな中、いつもよりも公演時間が長引いているようだ。
普段と違う様子に、周囲から疑問の声が上がった。
すると――。
『皆様に謝罪したいことがあります』
舞台の中央にリュウセイが現れた。


