和服御曹司で俳優な幼馴染に、絶対溺愛されてます


(確かにリュウちゃんにしては、いつもの人を圧倒するような雰囲気だとか、迫力みたいなものが全くないというか……)

 いったいどうしたのだろうか?

 心配になりながらミサは着席した。
 噂の女優のRINは近くにはいない。
 ドラマよりも大振りのだが、切れ味のないリュウセイの演技を見つめる。

(リュウちゃん、大丈夫かしら?)

 ちょうど話の区切りになり、彼が舞台脇に入っていくことになった。
 周囲では少しだけ残念そうな声や批難の声も上がる。

「やっぱり顔だけなんだよ」
「実力派なんて言われているけれど、女性ファンを味方につけてるだけなんだよ」

 ――そんなことないのに――。

 ミサはぎゅっと膝の上で、きつく両手を握りしめた。

(リュウちゃん……)
 
 演技中だとというのに、どことなく悔しそうな顔をしたリュウセイ。
 祈るように彼女は彼を見つめた。

 その時――舞台袖に消える彼と、ミサは目がばっちり合った気がした。

(舞台に集中してるはずのリュウちゃんと目が合うわけないかな)

 姿を消す際、ふっと彼の張り詰めていた空気が和らいだ――。

(気のせいかな?)