彼の言い分を信じて、夏祭りの会場へと向かう。
海岸線を歩いていると、生ぬるい風が吹いてきた。
そうして、途中にある森のわき道から神社の入口へと向かう。
「裏道通れば、ますますバレないな」
じゃりじゃりと、二人で下駄をならしながら、目的の場所へと坂道を歩む。
どんどんと太鼓やひゅるりと笛の音が聴こえてくるようになった。
雑木林を抜けた頃、参道に向かって立ち並ぶ屋台が見える。それらから、様々な食べ物の香りや、金魚すくいの金魚の生々しさや、ヨーヨー釣りのゴムの匂いなどがする。
境内には浴衣や夏着物を羽織った人々が、がやがやとひしめいていた。
「ミサ、頼みがある」
「……なるほど」
リュウセイに耳打ちされ、ミサは一件の出店へと向かう。そうして彼の元へと戻った。
「サンキュ」
彼女が頼まれたのは、バイクに乗って戦う特撮ヒーローのお面だった。
眼鏡をとった彼は、それで顔を隠した。
「ますますこれでバレなくなったな……まあ、ミサが不審者と一緒に歩いているとは思われるかもしれないが……まあ、これで店もまわれるわけだ。行くぞ」


