和服御曹司で俳優な幼馴染に、絶対溺愛されてます

 彼が懐から何か取り出す。
 ミサが鏡の中を覗くと、結い上げた黒髪に簪が挿してあるではないか――。
 瑪瑙があしらわれた簪。こまかな細工が施してあり、キラキラ輝いている。
 一目で高価なものだと分かった。

「リュウちゃん、こんな見るからに高そうなもの……」

「俺がお前にやりたいんだよ。もらっておいてくれ」

 リュウセイに片目を瞑られると、昔からミサは弱い。

「分かった、ありがとう」

 彼女が笑うと、彼は照れくさそうに笑っていた。
 そうして、次は彼に浴衣を着付けていく。
 広い肩幅に、腕にはちょうど良いぐらいの筋肉。帯がきゅっと締まる腰回り。

(やっぱりどうしてもドキドキしちゃうな……)

 そうして、彼に浴衣を着てもらった。
 高身長の彼は、やはりなんでも似合う。日本人からすると、ちょっと鼻筋の通った美青年だが、和服もばっちり着こなしていた。
 最後の仕上げに、彼は部屋に置かれていた眼鏡をつける。

「よし、行くぞ、ミサ」

「変装に眼鏡だけ? 近所のおばちゃん達にはさすがにバレるよ」

「分かってないな。下手な変装の方が目立つんだって。大体周りも浴衣が多いし、夕暮れ時以降なんだからバレないって」

「身長高いし……」

「ばれたら、黙ってもらえるように適当に頑張るよ」

 リュウセイの言い分に納得できるような出来ないような。