和服御曹司で俳優な幼馴染に、絶対溺愛されてます

「え?」

(――どういうこと?)

 また変な声が出てしまった。

「プロデューサーのお前も可愛くしないとダメだろう?」

「確かにそうね、じゃあ、お家から持ってきて――」

 すると、リュウセイがミサの肩に手を置く。

「もう俺が選んであるから」

 そういうと彼は障子を開けた。
 隣の間には浴衣と夏着物が所狭しと並んでいるではないか――。
 その中から、女性用の浴衣一式をリュウセイがミサに掲げた。

「リュウちゃん、これは……」

「俺からのプレゼントな。まあ気にするな、親父の資産じゃない。俺が演技で稼いだ金だよ」

 彼が片目を瞑ってくる。
 ミサは内心ドキドキが落ち着かない。
 珊瑚色の綺麗な浴衣だった。
 紅梅色の帯が合わせてあって、愛らしい。


「うわぁ、ありがとう……お礼どうしよう」

「お礼は後で考える。今から、着付けてみろよ。当日うっかり着れませんでしたじゃ、話にならないからな」

「ここで着替えるの?」