「え? あんなに昔は自分で着てたのに?」
想定外のことを言われたミサはきょとんとしてしまう。
呉服店の息子であるリュウセイの方が、英才教育とでもいうべきか、和装に関しては詳しかったのだ。
「俺も有名になったし、メイクや着付けは全部衣装係がやってくれるんだよ。ずっと自分で着てなかったら忘れちまった」
昔と変わらない気がしていたが、やはり変わってしまったところはあるようだ。
(なんだろう、少しだけ寂しい)
昔よくリュウセイが着物について語ってくれたおかげで興味を持ったところもミサには少なからずあるのだ。
「ミサ、中に入ってきてくれないか?」
ミサが部屋の中に戻る。
肌襦袢の上に、浴衣を羽織った、中途半端な格好をしたリュウセイの姿があった。
男性の着付けを担当することだってある。だというのに、彼を見るとミサは見惚れてドキドキしてしまった。気を取り直して、彼に近付く。
「じゃあ、腰回りをもって」
頬を火照らせながら、彼女は彼の腰に腰紐を回していく。二度掛けして捩じって結んだ後、角帯で貝の口にきゅっと結んだ。
「はい、出来上がり」
「相変わらず、ミサは手際が良いな」
褒められて満更でもない。
ミサがにこにこ笑っていると、リュウセイが思いがけないことを口にした。
「じゃあ、次はミサの番な?」
想定外のことを言われたミサはきょとんとしてしまう。
呉服店の息子であるリュウセイの方が、英才教育とでもいうべきか、和装に関しては詳しかったのだ。
「俺も有名になったし、メイクや着付けは全部衣装係がやってくれるんだよ。ずっと自分で着てなかったら忘れちまった」
昔と変わらない気がしていたが、やはり変わってしまったところはあるようだ。
(なんだろう、少しだけ寂しい)
昔よくリュウセイが着物について語ってくれたおかげで興味を持ったところもミサには少なからずあるのだ。
「ミサ、中に入ってきてくれないか?」
ミサが部屋の中に戻る。
肌襦袢の上に、浴衣を羽織った、中途半端な格好をしたリュウセイの姿があった。
男性の着付けを担当することだってある。だというのに、彼を見るとミサは見惚れてドキドキしてしまった。気を取り直して、彼に近付く。
「じゃあ、腰回りをもって」
頬を火照らせながら、彼女は彼の腰に腰紐を回していく。二度掛けして捩じって結んだ後、角帯で貝の口にきゅっと結んだ。
「はい、出来上がり」
「相変わらず、ミサは手際が良いな」
褒められて満更でもない。
ミサがにこにこ笑っていると、リュウセイが思いがけないことを口にした。
「じゃあ、次はミサの番な?」


