病院で一通り検査して退院した。

「たく!大丈夫?」

「大輔…剛…」

失った文字は既に把握してるようなのでその言葉を使わないように話しかけてくれた。

「自分の名がわからなくなっちゃった。好きな人の名も呼べなくなっちゃった」

僕の言葉に3人涙を流した。

どんな言葉を掛けて良いかなんて2人にはわからないだろうし僕自身も自分でどうされたいかなんてわからない。

同情されたいのか励まされたいのかそっとしてほしいのかさえわからない。

コンコン

扉をノックする音が聞こえ、両親と主治医が入ってきた。

「お友達と居る所、申し訳ない、今後の事をしっかり話し決めようか」

そう言われた。

剛と大輔は周囲の人達と僕に挨拶して帰っていった。

今はただただ生きてく未来が見えなく怖い。

彼女とは

「別れよ」

「やだ」

「僕とじゃダメだから別れよ?」

「やだ!」

会話を繰り返しては一旦保留のままになってしまった。

大学も休み、家に引きこもる日々が続いた。

「友達よ」

母さんがそう言うと部屋に剛が入ってきた。

「よ!」

と剛は言いその後、僕に何度も謝ってきた。

剛は全然悪くないのにそれでも沢山謝ってきた。

言葉が上手く言えず話せない僕。

「自分は大切な人を不幸な目にさせてしまう」

剛は幼少期の頃からの話しを僕に聞かせてくれた。