圭祐さん達の解散を聞いた時

「なんで!?」

と大輔に尋ねた。

「うーん…一応、兄貴もバンドで将来やっていこうと思ってたみたいなんじゃが親に反対された時にそれを言い返す事が出来んかったみたいで」

20代の頃に

「もう一度だけライブしよう」

圭祐さん発で当時のメンバーに掛け合ってみたが県外に居たり、仕事が忙しくて休めそうになかったりと結局実現出来なかった。

「親に反対された時にその反対をも言い返せる事が言えれば良かったんだけど、ウチのバンドはカリスマ性や売れるであろう予感を持ち合わせてなかったのはすでにわかってたからね」

大人になって圭祐さんに再会した時に言われた。

そんな大人になった圭祐さんの腕の中には笑顔の息子君が抱っこされていて、幸せそうに見える家族に自然と笑顔になった。

時は戻り、イヤホンをしながらも学校にバレたら没収されるので、先生が朝立って居そうな場所の近くになると僕はイヤホンを外し、鞄の底にそっと隠すように入れた。