「無理だって!そんな時間ないよ」

吉田さんが首を横に振った。

「下手くそでもいい!失敗したっていい!けどどうしても自分達の熱いの届けたいんよ!」

そう剛は拳を自分の胸に叩いた。

「メロディは僕が考えるから!」

「作詞はどうするの?」

「拓郎が考える」

「はい!?」

突然の無茶振りに目が点になる。

「いや、無理無理無理無理!ハードル高いって!」

「いや、拓郎なら出来る!拓郎の熱い言葉を聞かせてくれよ!」

剛が拳を僕の胸に当ててきた。

「頼むよ!」

真っ直ぐ僕の目を見て言うので観念した。

「はぁ……変でも絶対笑わないでよ?短くても文句言わないでよ」

こうして校歌のロック、コピー曲、オリジナルの3曲を披露する事にした。

「どうしよ、時間足りるかな?」

本番までに曲を作って仕上げるのにやり遂げれるか不安になっていると大橋さんがアニメのキャラクターみたいに

「大丈夫、まだ慌てる時間じゃない」

と、カッコよく言った。

練習が滞り上手く進まない度に

「大丈夫、まだ慌てる時間じゃない」

と、僕達を勇気づけてくれた。

「つか、15分で3曲だったら少し間の時間あるんじゃない?」

和寿の問いに

「拓郎がトークで繋ぐよ」

剛が答える

「……」

僕は諦めた。

断っても結局押されるので諦めた。

諦めた代わり

『バンド・トーク』

ネット検索していっぱい勉強した。