「キャー!最悪!」

思わぬ天気にあちこちで気象予報士の名前の悪口が飛び交った。

傘を持ってない僕達は雨宿りが出来そうな屋根の下に立った。

「最悪なんだけど」

そう言う彼女に僕はハンカチを出して拭いてあげた。

そんな僕達の隣に旅行帰りなのかサングラスをかけたキャリーバックを持った男性が同じように雨宿りに入ってきた。

「ねぇねぇサングラスしてるし芸能人かな?」

「え?違うでしょ」

小声でそんな会話をしてるとこっちに会釈してきたので返した。

「突然の雨ついてないですね」

「はは、そうですね。けど雨はそんなに嫌いじゃないんですよ」

白い息を吐きながら言葉を返したサングラスの男性に

「旅行帰りなんですか?」

彼女が聞いた。

「んー、まあそんなもんです」

会話する中どんどんと雨足が強くなった。

「待ち合わせですか?」

僕の質問に

「はい、今日久々に会う彼女と待ち合わせしてたんですよ」

男性はそろそろ来る頃かなと時計を見始めた。

それから数分したら一人女性の姿が真っ直ぐこっちに向かって歩いてきた。

その女性は傘をたたみ彼の隣に立った。

「おかえり」

女性が男性に優しい言葉で言った。

「ただいま」

男性が返した瞬間、女性の目から涙が溢れ出ていた。