「もう良いもう良い、大変そうだったのは充分わかったから。それにしてもなんで上島君の事調べたの?」

「僕、好きなんですよ明菜ちゃんが」

「え!?」

「シスコンって言われるかも知れないですが姉の事が好きで少しでも力になりたいんです」

両親共働きで小さい頃から明菜が色々面倒を見てくれて、そんな優しい明菜の事が好きで仕方ないとの事。

「それは恋愛対象として……も?」

「いえいえ!流石にそれは…」

そう言った真彦君は少し寂しそうな顔をしてた。

まるで叶わぬ恋を無理矢理諦めてるように感じた。

「おまたせ!抹茶とチーズケーキだけど、まー君は抹茶ケーキで良かったよね?」

「ありがとう明菜ちゃん」

そう言った後、美味しそうに食べる真彦君は嬉しそうだった。

夕方になり私は帰り支度をし玄関を出た。

「じゃあ、文化祭当日にね、それまでにチケットは渡すから」

「うん、よろしくね」

「真彦君もじゃあね」

「あ、亜依子さん」

そう言って真彦君は私に駆け寄ってきて耳打ちした。

「僕、亜依子さんの事も好きなんですよ」

「え?え?え?え?」

「亜依子さんの片思い中の彼の知りたい情報も調べれるのでいつでも言ってくださいね」

小悪魔的な表情で囁いた真彦君は明菜の元へ歩み寄った。

「何話したの?」

「ふふ、秘密」

2人は仲睦まじく家の中に入って行った。

真彦君の明菜に対する本当の気持ちは私にはわからないが、それでも明菜の幸せを願う気持ちは本物なんだろうなと思った。

いや、しかしだが!

そんな事よりもしかしだが!

私が好きはからかってるだけだよね?

あああああああとさ!

めっっっちゃ拓郎君の情報気になるんだけどっ!

どうしよっ!!!

拓郎君の情報を知りたい自分と、モラル的にそれはNGだからやめとけと言う天使と悪魔が私の中で戦っていた。

激しく葛藤した。

数時間に及ぶ戦いの末、ギリ天使勝った。

つか、お姉ちゃんの事名前呼びしてたな。

私は帰って弟の真にお願いしてみた。

「ねえねえ私の事、亜依子ちゃんって呼んでみて」

「え、気持ち悪いから嫌なんだけど」

「なんでよ!良いじゃん一回ぐらい。ちなみにお姉ちゃん事、恋愛対象として見れる?」

「それ以上、気持ち悪い事言うとブチギレるよ」

めっちゃ嫌われた。