「お家の人には連絡したのかい?心配してるだろうから電話の一つはしといた方がいいよ」

ふとお家の時計を見ると普段ならとっくに家に帰りご飯もお風呂を済ませてる時間だった。

何も言ってないのに私の事情を察したかのようにおじいさんに言われ私は素直に父に電話を入れた。

プルルルルッ

プルルルルッ

「はい」

「あ、もしもし亜依子です」

「あぁ……良かった。今どこだ?」

ツーコールで出た父は帰って来ない娘を心配してたが電話で私の声を聞いたら安心した様子だった。

「友達のお家。後でここのお家の人に送ってもらうから」

そう父に話すとたく君とおじいさん達の会話が耳に入ってきた。

「明日学校休みだろ?もう遅いから泊まってったら?」

おじいさんおばあさんがたく君にそう言ってるのを電話しながら聞こえた私はパニクった。

「え?え?え?え?」

「ちょっと代わって…」

「あ、はい」

おじいさんが電話を代わり父に状況を説明し、その後おばあさんにも電話を代わり父と話しをしていた。

そして再び私に受話器を渡してきた。

「送ってもらうにも今日はもう遅いし外も雪降って危ないからお言葉に甘えて泊まらせてもらいなさい」

「はい」

ご飯をいただいた後、お風呂に入らさせていただき、

「すみません、お着替えまで用意してもらって」

仏間に敷かれたお布団に入り、

「はい、おやすみね」

「おやすみなさい」

電気を消された。

布団に入り初めて見る天井の模様を見てふと我にかえった。

展開凄すぎやしないかい?

今日初めて話した男の子に連れられておじいさん家に泊まるって!

よく少女漫画を読むが、女の子が夜遅くこういう風に出ると男の子と駆け落ちだとか山小屋で一夜明かすと言う様な展開は見た事があるが、

おじいさん家てっ!

おじいさん家に泊まるってっ!

めちゃくちゃこの布団寝心地良いんだがっ!

こんな展開私が見るドラマや映画で見た事ないんだがっ!

これ絶対今度明菜に話そっ!

明菜とあっついお茶しばきながら一緒に煎餅ボリボリ食べながら喋ろっ!

興奮から目がバッチリ冴えて中々寝付けなかった。