「なんで居るんだよ僕の所に来たら彼氏さんに怒られるだろ」

「別れたよ、あれからすぐの11月の頭頃に」

「うそ!そうなの!?」

「剛君は彼女出来た?」

「ううん、出来てない」

「はい、卒業おめでとう」

そう言って花束を渡してくれた。

「ありがとう、でもなんで別れたの教えてくれなかったの?」

「だって別れてすぐだと乗り換えみたいに思われるの嫌だったし、何より剛君は受験生だったし…」

そう言うと美咲さんは少し恥ずかしそうに聞いてきた。

「歳上の彼女欲しくない?」

「欲しい」

「どうする?」

恥ずかしそうな顔から一転し意地悪そうに聞く美咲さんの顔からは何処か嬉しさが出てるようだった。

「付き合ってください」

「どうしよっかなぁ」

「それはひどい!くそエグい!年下をもてあそび過ぎ!」

さらにギャンギャン泣きながら吠える僕に美咲さんは抱きついてきた。

「彼女にしてください」

「はい!!!」

ぎゅっと抱きしめて鼻に届くバニラの匂いは凄い甘美で、もっと感じて居たいとより強く抱きしめていた。

「ちょっと痛い痛い」

笑いながら言われる美咲さんにそっと優しいキスをされた。

いつの間にかみんなが僕達に注目してたみたいでおめでとうって声が届いた。

「あれ?」

「どうしたの?」

「中学の卒業式の時に一緒に写真撮った子と似た子が居たような気がした」

それから高校卒業して寮を出てから大学の近くで1人暮らしを始めた。

ギターは趣味程度で家で弾いたりはしてたがバンドを組んでライブしたりはしなかった。

大学もバイトも彼女とも順風満帆に過ごしてたのでこれはこれで良いかなと思ってた矢先に大輔からライブに誘われた。

「良いけどメンバーは?」

「わしと同じ大学の利伸君ってのがベースでボーカルは拓郎」

また拓郎とライブ出来る嬉しさから二つ返事でOKした。