ハッ!
と目を開けると、まだ暗くて朝が来てないことがわかった。
はぁ…起きてしまった。
一度目が開くと、寝るときが怖いから簡単に眠れそうにない。
仕方なくトイレに向かう。
薄暗い廊下はもう慣れっこで、一人部屋で寝付く時に比べたら、全く怖くない。
静かにトイレへ向かう。
窓から見える外はもう少ししたら朝になってくるのかな、っていうくらいの明るさ。
真っ暗というより、若干明るいような…
もう朝になるなら、起きていよう。
トイレを済ませて、病棟の待ロビーまでやってきた。
ソファに腰を下ろす。
はぁ。入院してると、私にとってここが唯一の外。
ちょっとした息抜き…
そんなことを考えてると、眠くなってくる。
ここなら…こうやって座ってれば…
起きないかもしれない…
発作。
頭が左右に揺らされて目が覚めた。
ボーっとしながら周りを見ると、2人の看護師が目の前にいた。
『佐藤さんっ!お部屋に戻りしょうね。』
何時なのか分からないけど、立つように促され、なされるまま足を動かす。
『どうして、あんなところにいたんですか?』
そんなことを聞かれるけど、どうしてか…思い出せない…
『いつからいたんですか?』
もう一人の看護師に聞かれる。
「うーん…」
眠い…
質問を聞かれるのに精一杯で、答えられない…
とにかくベッドに…
ふらつく体を支えてもらいながら、部屋に着く。
扉が空いて部屋に入ると、
『あら、かなちゃあん?夢遊病かな?』
う…顔は笑顔で、言葉も笑顔…
そんなときの石川先生ほど怖いものはない。
『早くベッドに来い。』
小児科医の石川先生からは、まず聞くことのない声。
一緒にいた看護師の顔がきっと青ざめているだろうな…
たまに私は聞くけど、これには慣れない。
ふらふらとベッドに近づいて、なんとかベッドに登って、横になる。
何も言わず聴診器を耳につける石川先生。
石川先生のただならぬ迫力に恐れながら、私の服を上げる看護師。
睡魔に勝てず、眠りにつく私。



