リビングにはお母さんだけじゃなくてお父さんも孝治さんもいる。
いつの間に帰ったのかな…。
『よく寝てたね、かなちゃん。
今日は一日検査お疲れ様。』
「…はい。お父さんもお仕事お疲れ様でした。」
部屋で気づいた頭痛が、少しずつ大きくなっていることがわかる。
薬、飲んでおけばよかったかな…
でも、今飲むのも…な。みんな…いるし。
そんなことを考えながら、お母さんに出してもらった食事に手をつける。
寝起きで食欲がわかないかな…と思っていたけど、
一口汁物を飲むと、お腹が相当空いていたのか、手がよく進む。
そうだ…今日、お昼をまともに食べれてなかった。
検査もお昼を過ぎて、帰ってきて、そのまま寝室に行ってこの時間。
お昼を過ぎてたから、お母さんからは、ご飯のことを言われなかったけど。
『よく食べれて、えらいわね。』
お母さんの嬉しそうな声。
その後に聞こえたのは、
『どうせ昼、食べてないんだろ?』
う…孝治さんの声に手を止める。
「は、はい…」
そう答えると、お父さんとお母さんがハッとした顔で私を見つめる。
ん?
何かな?
と分からない顔でいると。
『ということは、昼の薬は飲んでないんだろうな。』
孝治さんの一言で、しまった!と思った。
私の治療に対してとても厳しいお父さんに、アメリカ生活で術後、薬の管理をしてくれてたお母さん。
いつもみたいに顔が笑ってない。
「ごめんなさい…」
そう言って、席を慌てて立つ。
そうだ、この食事の前の薬も…忘れてた。
そそくさと寝室へ向かい、今日もらってきた薬を確認に行った。
ヤバい…あの雰囲気。孝治さんだけじゃない、怒ってるの。
私はこれからどうやってあそこに戻ったらいいのか…
「はぁ」
溜め息しか出ない。



