『じゃあ、かなちゃん。ここで待っていてね。』
久しぶりのやごな病院での待合室。
相変わらずの賑やかさに懐かしさを感じる。
その待っている時間も悪くはないくらい、居心地がよく感じる。
少しして、診察室から私を呼ぶ看護師さん。
『お久しぶりですね、かな先生。』
と知った顔の看護師に挨拶をされる。
「お久しぶりです。今日からまたお世話になります。」
と言い、頭を下げると、診察室の中に案内された。
いつもの診察室で、いつもの丸椅子に座る。
お父さんが白衣を着て来るのかな?と思いきや、
今日の外来は…
『久しぶりだな、佐藤。』
「お、お久しぶりです。石川先生っ。」
思いもよらない人が現れて、挙動不審になってしまった。
『俺で驚いたか?』
軽く頭を振って答える。
『今日は俺が外来なんだ。
まぁ、他の先生方とも一緒に診て行くけどな。』
そう言いながら、さっそく聴診器を耳に当てる。
『じゃあ、服を上げて。
深呼吸して…』
スーハーと何度か深呼吸をする。
正直、緊張の方が勝ってしまう。
『いい音になってきたな。
まぁ、肺の方は相変わらずだけどな。』
そう言いながら聴診器を片付けて、リンパや喉を確認して、一通りの診察を受けた。
『今日一日で検査を終わらせたいから、早速、喘息の方を検査しようかな。』
と検査キットを用意される。
いつも通り大きく息を吐く。
それが終われば、心臓をエコーで確認。
ついでに心電図。
最後に血液検査もバッチリ終えた。
『よしっ、お疲れ様。最後は今までの疲れをしっかり取ろうな。』
と肩に手を置かれ、何事かと不安に思っていると。
外来の処置室へ連れて行かれ…
『はい、どうぞ。』
ポンポンとベッドを叩かれ、ここに寝ろと言われる。
その仕草で何をされるのかすぐに理解する。
「いやぁ、その…
そんなに疲れてないですし。
まだ家で療養させてもらえますし。
ですので…その…」
『早くしろ…』
顔はにこやかにしているけど、その声を聞けばもう拒否できない。
「はい…」
ベッドに寝ると、さっそく腕に消毒を塗られ、すぐさまブチッと刺される。
石川先生の点滴で痛い思いをしたことはないけど、やっぱり体に針を刺すって…痛いし、怖い。
『ここでしっかり休んでいけ。』
そういうとカーテンを閉めて、どこかへ行った。
できることなら…家で休みたい。
休みたい気持ちがあるけど、ここは職場で。
やはり仕事のことが頭をよぎる。
アメリカでのことを思い出して、色々考えているとすっかり目は覚めていた。



