辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2


 悲しそうな表情を見せたサリーシャを見て、料理人の一人は慌てた様子で紅茶に手を伸ばした。そのままティーカップを口許に運び、一口口に含む。

「美味しいです……」
「本当に? わたくし、無理やり言わせてないかしら?」

 おずおずと尋ねたサリーシャに、料理人はブンブンと首を振って見せた。

「いいえ。本当に美味しいです」
 
 思った以上の出来に驚いたような表情を見せた料理人の様子に、サリーシャは頬を綻ばせる。

「よかったわ。焼き立てのクッキーはどうかしら? 皆様に殆ど手伝ってもらったのだから、絶対に美味しいわね」

 サリーシャは今さっき焼き上がったばかりの木の実のクッキーを一つ摘まみ上げた。そのまま口に含むと、サクサクとしたクッキーの食感に混じり、刻んだ木の実のコリコリとした感触が歯に当たる。それが香ばしさを引き出して、絶妙な焼き上がり具合になっていた。

「美味しいわ!」