辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2


「ところで、昨日俺が外した後、どんな話を? デニーリ地区の窃盗団の話はどうなった」
「アルカン殿によると、デニーリ地区の窃盗団は二年ほど前から現れ始めたらしい。たちが悪いことに、義賊を気取っているらしい」
「義賊?」
「ああ、狙うのは明らかな金持ちが手配したと思われる馬車ばかり。その強盗が現れた翌日には、近所の孤児院や修道院に盗まれた物資の一部が寄付されている」
「それは厄介だな」

 セシリオは眉をひそめた。義賊とは、金持ちから金品を盗んで貧しい人々に分け与える盗賊のことだ。強盗はれっきとした犯罪だ。しかし、一般的に義賊は貧困層から正義の味方のように崇められていることが多い。捕らえるこちら側が悪人のように反感を買うのだ。

「たしか、最近は武装した用心棒を連れていてたちが悪いと言っていたが……」
「ああ。ここ最近、急に武装化してるらしい。それも、一人や二人じゃないようだ。組織がでかくなりすぎる前に潰した方がいいな」

 先ほどまでが嘘のように真面目な顔になったモーリスは、茶色い瞳でセシリオを真っ直ぐに見つめる。セシリオはその瞳を無言で見つめ返すと、深く頷いた。