辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2


 食事を始めた頃には、タイミングを見計らって熱々で用意された料理と飲み物はすっかりと冷め切っていた。
 作り直させて持ってくるというクラーラの申し出を、セシリオとサリーシャは断った。料理長がせっかく作ってくれたものを無駄にするわけにはいかない。

「きっと、美味しい頃合いを見計らって下さっていたのに、冷めてしまっているわ。閣下、ごめんなさい……」

 冷たくなったスープを掬いながら、酷く哀しそうな顔をするサリーシャのことは見ていられないほどだった。

「で、明日仕切り直すと?」

 モーリスが未だに肩を揺らしながらにやにやとこちらを見てくる。セシリオは忌々しげにモーリスを睨み据えた。

「仕方がないだろう?」
「ふーん。ま、なんだかんだで幸せそうだからいいんじゃないか」

 モーリスはセシリオの肩をポンと叩くと、ニヤっと口の端を持ち上げる。セシリオはふうっと息を吐いて椅子に座り直した。