ヒュン、ヒュン、と風を斬る音があたりに響く。
その間、サリーシャはうっとりとした様子でこちらに見いっていた。剣を振るときにセシリオはいつも仮想の相手を思い浮かべる。そのため、もともと鋭い目付きがより鋭くなって、モーリスには『鬼神』などと揶揄される。部下達すら怖がるのだから、普通のご令嬢であればあまりの恐ろしさに震え上がりそうなものだが、サリーシャは全くの例外のようだ。
暫くそのまま鍛練を続け、セシリオは振るっていた剣を鞘にしまった。鞘と柄がぶつかり、カシャンと音がなる。
「とても素敵でした。閣下が敵わない剣の使い手などいないでしょうね」
サリーシャは頬を染めたままこちらを見上げてはにかむ。セシリオはぐっと言葉に詰まって眉尻を下げた。
可愛い……。
これはもう、この世のあらゆる可愛いらしさを詰め込んで神が創りたもうた最高傑作に違いないとセシリオは悶絶した。
「大抵の者は相手にならないのだが……。どうにも敵いそうにない相手が一人いる」
その間、サリーシャはうっとりとした様子でこちらに見いっていた。剣を振るときにセシリオはいつも仮想の相手を思い浮かべる。そのため、もともと鋭い目付きがより鋭くなって、モーリスには『鬼神』などと揶揄される。部下達すら怖がるのだから、普通のご令嬢であればあまりの恐ろしさに震え上がりそうなものだが、サリーシャは全くの例外のようだ。
暫くそのまま鍛練を続け、セシリオは振るっていた剣を鞘にしまった。鞘と柄がぶつかり、カシャンと音がなる。
「とても素敵でした。閣下が敵わない剣の使い手などいないでしょうね」
サリーシャは頬を染めたままこちらを見上げてはにかむ。セシリオはぐっと言葉に詰まって眉尻を下げた。
可愛い……。
これはもう、この世のあらゆる可愛いらしさを詰め込んで神が創りたもうた最高傑作に違いないとセシリオは悶絶した。
「大抵の者は相手にならないのだが……。どうにも敵いそうにない相手が一人いる」



