辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2


 こんな日が来るなんて、数ヶ月前までは想像すらしていなかった。愛する人が微笑みかけてくれる幸せなど、叶わぬ夢でしかないと思っていた。それを、こんなにも多くの人に祝ってもらえるなんて──。
 涙ぐむサリーシャの頬を、セシリオが優しく触れる。

「夢じゃない。きみのことはこれからもっと幸せにする」

 目の前にセシリオの顔が近づき、唇が軽く触れ合う。あたりの歓声が、一層大きなものへと変わった。

「さあ、手を振ってアハマスの辺境伯夫人の姿を見せてやってくれ」
「──はい」

 サリーシャは満面に笑みを浮かべて手を振る。
 割れんばかりの拍手と、祝福と、笑顔があたりを覆い尽くした。