「本日はよろしくお願いいたします」
「このような大役をお任せいただき、誠に光栄です」
オーバン氏も小さくお辞儀をする。そして、「本当にお綺麗です」と微笑んだ。
結婚式では通常、新郎に引き渡すまでを新婦の父親がエスコートする。しかし、サリーシャとセシリオはこぢんまりとした挙式にしたかったので、アハマスの領地外の人は一切招待しなかった。三ヶ月後に王都で行われるフィリップ殿下の結婚式で親戚たちに会えるので、そこで会食の席を設けて挨拶をする予定だ。そのため、今回の挙式でのエスコート役はクラーラの夫であるオーバン氏にお願いした。
大聖堂の重厚な扉の前に、サリーシャは緊張の面持ちで立った。身長の倍ほども高さのある大きな扉には、びっしりと彫刻がされている。
扉が開いて光が差し込み、サリーシャはその眩しさに咄嗟に目を細めた。
最初に目に入ったのは、外からの光を受けて美しく煌めくステンドグラスだった。全部で五面に分かれたステンドグラスは壁一面を覆っており、圧倒的な存在感を放っている。祭壇の上部、高い天井までの全体に、色とりどりの光が溢れていた。中央の一面だけ、上部が丸型に抜かれている。幾何学模様を描いた色彩の結晶が、大聖堂全体を荘厳で幻想的に照らしていた。
視線を下ろせば柱には天使たちが彫られており、微笑みを浮かべて見下ろしていた。正面の一段上がったところには司教が立っている。そして、その手前には、深緑色に金糸の装飾が入った豪華な軍服を身に纏う、最愛の人が立っていた。



