辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

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 雲一つない、冴え渡る青空。時折穏やかな風が吹き、木々の葉を優しく揺らすこのよき日に、サリーシャは先日完成したばかりのウェディングドレスに身を包んでいた。髪結い師により美しく結い上げられた金の髪には、レースで作った花の飾りが飾られている。仕立て屋がドレスと一緒に作ってくれたもので、中心には真珠が輝いていた。そして、耳元にも真珠のイヤリングが飾られる。

「目を開けてください」

 アイメイクをしてもらっていたサリーシャは、そう言われて閉じていた瞼をゆっくりと持ち上げた。目が合うと、正面からこちらを見つめていた化粧師の両口の端がゆっくりと上がる。

「とてもお綺麗です」

 サリーシャは瑠璃色の瞳で化粧師を見つめ返した。

「本当に? おかしくない?」
「わたくしがこれまでの人生で手掛けてきた中で、間違いなく最高の出来栄えです」

 化粧師は自信満々にそう断言すると、サリーシャに手鏡を差し出す。サリーシャはそれを受けとると、おずおずと覗き込んだ。鏡に映るのは間違いなく見慣れた自分の顔だ。しかし、今日は化粧を生業とする化粧師にやってもらったので、いつもと雰囲気が違う。
 サリーシャはパチパチと目を(しばた)かせ、自分の顔に見入った。アイシャドウがしっかりと入っているせいで、いつもより少しだけ大人っぽく見えた。