そして、セシリオに微笑みかけた。
「「いただきます」」
二人が声を揃えて大地の恵みと作物を育てる農家、家畜を育てる畜産家、食事を作る料理人、その他に関わる全ての人々に感謝を捧げ、食事を始める。目を見張るような豪華さはないがとても美味しいし、なによりも大好きな人と一緒にとる食事は格別だ。
「閣下は何を着る予定ですか?」
会話が途切れたタイミングでサリーシャが尋ねると、セシリオはフォークを動かす手を止めた。
「普通に花婿用の礼服のつもりで用意していたのだが、きみが軍服の方が好きだと言うから軍服にするか迷っている。殿下の結婚式もあるから、新調したんだ。もうすぐ出来上がる」
「式典用の軍服でございますか? はい、閣下のあのお姿は好きです。その……いつも素敵ですけれど、特別素敵に見えますから」
サリーシャはセシリオの式典用の軍服姿を一度しか見たことがないが、とても素敵だった。見慣れた深緑の軍服と似ているのだが、肩章や飾り紐などが普段のものより立派だし、襟や袖に金糸で精緻な刺繍が入っていて、とても豪華な軍服だった。その豪華な軍服の胸元には沢山の勲章が飾られ、これまでのセシリオの活躍ぶりを窺わせた。
「──そうか。では、そうしよう」