辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 パトリックはすぐに体勢を戻すと、照れたように笑う。そして、おずおずとサリーシャの手をとり、キスをした。

「パトリックだ。支えてくれてありがとう。先日骨折したせいで、まだ本調子じゃないんだ」

 そう言いながら、頬を赤らめたパトリックは左足を(さす)った。

 ──確か、王都で行われたフィリップ殿下の結婚式の際にジョエル様とメラニー様が遅れてきた原因は、パトリック様が大怪我したせいだってセシリオ様が言っていたわよね……

 サリーシャはフィリップ殿下の結婚式の帰りに馬車でセシリオから聞いたことを思い出していた。

「落馬したとお聞きしましたわ。もう大丈夫なのですか?」
「ああ、もう大丈夫なのだが、長期間歩かなかったからすっかりと筋肉が落ちてしまって。今、リハビリ中だ。お恥ずかしい限りなのだが、少々無理をして馬から落ちてしまった」