ここに来るのは久しぶりだ。一時期は、毎日のように通っていた。カチンと長針が右に動き、午後三時を告げる鐘が鳴る。それと共に、時計の下の小さな扉が開き、中から兵隊の格好をした人形が一体飛び出してきた。
「仕掛け時計か」
見上げたセシリオが呟く。
「はい。一日二回だけ大きな仕掛けが動きます。初めて見た時はまだマオーニ伯爵に引き取られて間もないころでした。とても珍しくて、可愛くて、あの頃からこれが大好きなのです」
サリーシャは人形を見上げて微笑んだ。
兵隊人形がラッパを吹く真似をしてクルンと向きを変えて扉の中に隠れると、ハンドベルのような音色の合奏が始まる。その音楽に合わせて、今さっき兵隊人形が隠れた扉から次々に別の人形が飛び出してきた。町娘風、兵隊風、商人風……実に様々な人形が飛び出してくるが、最後に出てきたのはドレスを着たお姫様とフロックコートを着た王子様だった。それらが一列に並ぶと、その場でクルクルと回りだす。きっと、ダンスを踊っているのだろう。
まだマオーニ邸に引き取られて間もない頃、初めてこの仕掛け時計を見たサリーシャは、王都にはこんなものがあるのかととても驚いた。そして、踊る人形達に憧れの想いをもって自分の姿を重ねたりもした。まだあの時、ダンスレッスンは本格的には始まってなかったが、いつかは自分も大好きな人とあんな風に楽しそうに踊る日が来るのだろうかと夢みたものだ。
仕掛け時計の仕掛けが動くのはものの三分ほどだ。あっという間に終わってしまい、元通りの静けさが訪れる。それに伴い、仕掛け時計を見ようと集まってきていた人々も自然と捌け始めた。
「仕掛け時計か」
見上げたセシリオが呟く。
「はい。一日二回だけ大きな仕掛けが動きます。初めて見た時はまだマオーニ伯爵に引き取られて間もないころでした。とても珍しくて、可愛くて、あの頃からこれが大好きなのです」
サリーシャは人形を見上げて微笑んだ。
兵隊人形がラッパを吹く真似をしてクルンと向きを変えて扉の中に隠れると、ハンドベルのような音色の合奏が始まる。その音楽に合わせて、今さっき兵隊人形が隠れた扉から次々に別の人形が飛び出してきた。町娘風、兵隊風、商人風……実に様々な人形が飛び出してくるが、最後に出てきたのはドレスを着たお姫様とフロックコートを着た王子様だった。それらが一列に並ぶと、その場でクルクルと回りだす。きっと、ダンスを踊っているのだろう。
まだマオーニ邸に引き取られて間もない頃、初めてこの仕掛け時計を見たサリーシャは、王都にはこんなものがあるのかととても驚いた。そして、踊る人形達に憧れの想いをもって自分の姿を重ねたりもした。まだあの時、ダンスレッスンは本格的には始まってなかったが、いつかは自分も大好きな人とあんな風に楽しそうに踊る日が来るのだろうかと夢みたものだ。
仕掛け時計の仕掛けが動くのはものの三分ほどだ。あっという間に終わってしまい、元通りの静けさが訪れる。それに伴い、仕掛け時計を見ようと集まってきていた人々も自然と捌け始めた。



