辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 おずおずとサリーシャがそう告げると、セシリオは驚いたように目をみはる。
 セシリオはどんなに忙しくとも朝夕食時とサリーシャが眠る頃には屋敷の居住棟へと戻ってくる。しかし、日によってはサリーシャが寝たあとに、こっそりと隣の私室へ仕事のために戻っていることに、サリーシャは少し前から気付いていた。領地を不在にしていることが多く、仕事が溜まっているのだろう。

「気付いていないと思っていた」

 セシリオはバツの悪さを隠すように苦笑いする。

「気付きますわ」
「そうか。もちろん、その希望はきこう。──なにかお喋りしたいことが?」
「そうですわね。プランシェはどんな場所ですか」
「自然豊かな地域だ。王都に行く途中、森林地帯を抜けるだろう? あの一帯がプランシェだ」

 サリーシャはアハマスと王都を往復したときに見た景色を思い浮かべた。確かに、森林地帯が広がっていた。