辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 セシリオは目を細めると空いている腕をサリーシャの肩に回し、その髪を優しく撫でた。剣とペンを握り続けるため豆だらけになった、この大きな手で撫でられるのが、サリーシャは大好きだ。宝物のような優しい触れ方に大切にされていると感じ、とても安心できるから。
 しばらくされるがままに身を任せていたサリーシャは、ふとセシリオを見上げた。明日からしばらく会えないと思うと、やっぱり寂しい。サリーシャは目に焼きつけるように、その高い鼻梁のすっきりとした横顔をみつめた。

「あの……閣下、行く前のお願い事をしても?」
「お願い事? なんだ?」

 セシリオは僅かに首を(かし)げたが、サリーシャが言い出しやすいようにと微笑んでくれた。

「今夜はたくさんお喋りしたいです。それに、朝までちゃんと傍にいてください。その……、しばらく会えなくなってしまうから」