辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 それにしても……とモーリスは目の前の男を眺める。

「よく奥様を行かせる気になったな。まだ新婚なのに」

 セシリオは僅かに眉を寄せると、執務机の脇に置かれていた紅茶を一口含んだ。自らを落ち着かせるかのようなこの行動を見て、モーリスはセシリオが本当はサリーシャを行かせたくはなかったのだろうなと敏感に感じ取った。
 行くだけで丸二日かかる距離だが、セシリオも追ってそちらに向かうのだから会えないのはせいぜい二週間と少しだ。けれど、その期間ですら、セシリオにとっては断腸の思いだったのだろう。

「仕方がないだろう。サリーシャ自身がそう望んでいたし、俺の妻として一人前に役目を果たしたいという意思の表れなのだから。彼女のためを思うならそれがいいと、姉上も言っていた」
「可愛い子には旅をさせよ、だな」
「サリーシャは俺の子どもではなく、妻だ」
「わかっているよ、そんなこと」