辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 ダカール国との関係が悪くなり始めたのがちょうど十年くらい前だから、その頃に大量に増員した兵士達の一部が引退の時期を迎えているのだろう。

 一方、モーリスは執務机の上で乾かしている書類に気付き、それを覗き込んだ。

「例のものが来たのか?」
「ああ。これで一気に制圧できればいいのだが。少なくとも、これまでのように捕獲目前で手出しできなくなって泣きをみることはなくなる」

 セシリオはようやくインクが乾いた書類を一枚手に取り、頷いた。

 今日届いたこの書類は、アハマスとプランシェの協定書だ。
 窃盗団の一味がアハマス軍の追っ手から逃れるためにプランシェ伯爵領に逃げ込むことは以前から問題になっていた。