辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する 2

 次に立ち寄ったのは、タイタリア王国で一番大きな文房具店だ。筆記用具でも買うのかと思いきや、そこでセシリオが手にしたものもサリーシャの予想しないものだった。

「これは何ですか?」

 サリーシャは見慣れない筒状のものを見て、首をひねった。筒の周りには細かな彫刻が施されている。両側にガラスがはまり、見たことがない形状だ。

「これは、望遠鏡だ」
「望遠鏡?」
「ここから覗くと遠くが見える」

 セシリオが筒状のものを持ち上げて片側の穴を指差したので、サリーシャはそれを覗き込んだ。そして、目に入ったものに驚いてパッとそこから顔を離した。すぐに見た方向を確認したが、なんの変哲もない光景だ。もう一度おずおずとそれを覗き込み、感嘆の声を上げた。

「凄いわ」

 部屋の端に置かれた紙の文字が、まるで手元にあるかのように見える。とても不思議だ。まるで、魔法のようだと思った。

「アハマスでは敵の偵察のため、軍事用に使うんだが、一般的にはよく星の観察に使われているそうだ。今より倍率がいいのがあれば仕入れたいと思ってな」
「へえ……。とても面白いわ」