仁愛は友人関係が広いらしく、バーベキューに来ていた他の人とも連絡先を交換していたっぽいけど、彼女の中で俺の優先順位はどのくらいなんだろう。

 トークアプリでのメッセージのやりとりも頻繁だし、最低でも週に一度は遊ぶようにしてるけど、恋愛するのがご無沙汰というか仲がいい異性が少ない俺には、仁愛との関係が友達と恋人のどちらに近いのかまったく見当がつかない。

 そもそも俺は普段、学校がある日もない日もバイトが忙しく、母ちゃんの代わりに家事をしたり心美の面倒を見る日も多いから、どうしても仁愛のために使える時間が少なくなってしまっている自覚がある。

 それを仁愛はどう思っているだろう。俺のことが嫌いなら、わざわざ二人きりで会ったりしないよな? メッセージも返したりしないよな?

 ……でも、今朝送ったメッセージは既読スルーされてるんだよな。明日のクリスマスに遊ぶ約束を今日になってから断る内容だったから、怒ってるのかもしれねぇ……。


「うーん、どうすりゃよかったんだ……」

「ねーねー! 好きなの? 好きなんでしょー」


 俺が項垂れているのなんてお構いなしに、心美が背後から抱きつくように乗っかってくる。結構重くて、歳の離れた妹の成長をしみじみと感じた。そんな心美の可愛らしい指先は、写真の中の仁愛を懸命に指差している。

 なにを根拠に心美が俺の想い人を言い当てているのかわからないけど、もし女の勘ってやつなら、幼くても侮れないなと思った。

 俺は観念して呟く。


「……好きだよ」

「お姉ちゃんは、お兄ちゃんのこと好き?」

「さあ、それは俺もわかんねぇなぁ」

「ふうん」


 心美はなにかを考えるように黙り込む。けどすぐに、なにかを閃いたようにたちまち顔を輝かせた。