月の砂漠でプロポーズ

 二時間後。

「なんですか、もう……」
 私はリムジンのなかでぐったりしていた。

「なかなか、いい買い物したな」
 一方の諒さんは涼しげな顔だ。

「……あの。水着だけのはずが、なんで」

 こんなにブランドのショッピングバッグを抱えているのでしょう。

「ボーナスだ」

 こともなげに言われてしまったけれど、どれだけのボーナスを支給するつもりなんですか?

「諒さん、使い過ぎです!」

 ファーストクラスといい、私の年収が軽く吹っ飛んでいる気がする。

 す、と諒さんの手が私の耳の下あたりに触れた。

「使うあてのない金だ、許せ」

 ………………ぴー!!
 私、瞬間沸騰のケトルみたいになった!

 渡会諒。
 口説くつもりのない女にまで、この振る舞い。なんて恐ろしい男なの!