月の砂漠でプロポーズ

今日の諒さんは髪を降ろしていて、ジャケットとシャツを着ているものの、とてもくつろいでいる雰囲気だ。
 仕事での、ぴんと張りつめた空気も好きだけれど、和んでいる諒さんを見るのも嬉しい。

 ……好き、なんだ。私、諒さんのこと。

「どうした?」

「なんでもないですっ。……どうして諒さんは私の表情に気づくんでしょう」

 うかうかと恋する乙女をしていられないではないか。

「なんでだろうな」

 諒さんは楽しそうに窓枠に肘をかけて、外を見ていた。

 車が駐車場に入っていく。

「お買い物ですか? ……まさか、ここに住んでるとか言わないですよねっ?」

 TOKAIヒルズに連れて行ってもらったときのことを思い出してしまった。

「也美、水着は持ってきたか?」

「いいえ。日本の秋くらいの気候と確認していたので」

「宿泊するホテルには屋内プールもあるんだ」

 なんとっ!

「だからな、買いに行くぞ」

 諒さんはにこっと微笑むと、手をさしのべてきた。
 惚れた弱みで、彼と手をつないで歩くチャンスをどうして断れるだろう。 

「…………ハイ……」