月の砂漠でプロポーズ

私の仕事ぶりを評価してくれながらも、林の共犯だとクライアント達は信じ込んでしまったのだ。

 仕方ないのかもしれない。
 私だって、同じ立場だったらそうだったろう。 
 けれど、謝罪の意味もあったのだろうが、あっさりと手のひらを返したような行いに、クライアント達には対等な人間と見られてないのだろうと思い至ってしまった。

「そうか……」

 渡会さんにじっと見つめられたけれど、私は強情に目を逸らしたままだった。

 容疑が晴れたので、ひとまず私は家に帰れることになった。
 といっても、警察や裁判所から呼び出しされたらすぐに応じなければならないという条件つきだけれど。

 帰りたくない。
 でも、林が逮捕されて私が彼の犯罪と関係なかったどころか被害者の一人であることが判明すれば、もう渡会さんの家にかくまってもらう必要がなくなる。

 これ以上、渡会さんに迷惑はかけられない。

「お世話になりました」

 せめて最後は笑顔で。

「ああ」

 私の家まで、渡会さんが送ってくれることになった。
 面倒見のいい人だなあ。
 弁護士ってみんなこうなのだろうか。

 私。
 また困ったことになったら、渡会さんに弁護をお願いしたいな。
 すごい高いだろうから無理だけど。