「赤以外にも色で区別してる詐欺があるんですか?」

 私が訊けば、刑事さんが。

「青・白・黒とあります」

 さらにどんな詐欺があるのか聞こうとしたら、そこまでだとばかり、渡会さんが口を挟んで来た。

「あとは、少額でも支払いに応じないことだ。払えば事後承諾(追認)があったものとみなされる」

 ツイニンとは。

「『追認』とは、本来は無効である契約を結んだ当初までさかのぼって有効にすることだ」

 あぶなっ。
 なんか心折れて差し押さえに応じようとか考えてしまったかもしれない。

 ……渡会さんて他人の表情を読むのに長けている人だな。

 弁護士だものね。
 法廷ドラマを見てると、検察や犯人とかの表情みたり一言が命取りになったりするからだろうか。

 言い終えると立ち上がった渡会さんに、声をかけた。

「貴方が守るべき人間ではないのに、なぜ私の為に動いてくれるんですか」

 渡会さんは二・三秒黙ったのち呟いた。

「『疑わしきは罰せず』他に行くあてがないなら、俺のところに来るか」