「前田さん??」

 話しかけられて、はっとした。

 村田君との話の最中だというのに、余計なことを考えてしまった。いけない。

「それじゃあ、待ってるから!」

 村田君は、意気揚々と自分の教室へ戻って行った。

 前回と違って、今日はやたら強引だった。

 話すのすら2回目で、全然、親しくもないのに…困ってしまった。

 前回、断らなかったことを激しく悔やんだ。

 なんで『都合が合えば…』なんて答えちゃったんだろう。

 しかもあの後、デートに誘われたと思って浮かれてしまった。

 護に言われたことに動揺して、護以外から好意を持ってもらえるなら誰でもよかったんだ。

 私って、どうしようもないほどバカだ。

 ああ、どうしよう…。