護の家は大家族で、いつも誰かしら家にいるのに…。

 当たり前のことのはずなのに、それでも、護の家の電話機に留守番電話機能があったことを知って、新鮮に感じてしまったぐらいだ。

「誰に電話かけてるの?」

 お母さんに聞かれ、私は答えた。

「護ん家。でも、珍しく応答ないの」

 お母さんの表情がくもった。

「…玲奈はまだ知らないのね。あのね、護君のひいおじいさんが亡くなったんですって。それで、今日はお通夜だそうよ。護君、学校をお休みしてたんじゃないの?」

「私と護のクラスは離れてるから、休んでても気づかないよ。ね、私たちはお通夜に行かないの?」

「家族葬にするんですって。落ち着いたら、お仏壇にお線香をあげさせてもらいに行きましょう。初七日が終わってからかな」