〜異動前日〜
引っ越しはないので、前日も仕事がある
もちろん、ユカと働くのも最後となる

私情を挟まないように、淡々とこなしていくが、ふとした瞬間にふたりとも泣きたくなる

あと1時間で一緒に働けなくなる
ユカが上がると、コウジと店長のオカモトだけになる
ユカは時計を見ながら、涙を堪えていた
「いらっしゃい…」

店の入口を見て驚いた
そこにはコウモトがいた

「あれ?今日俺ヘルプじゃなかったけ?」
ホールにいた、オカモトに聞いていた
「聞いてないですよ」
「ああ、やっちまった。ここで帰ったら、また嫁さんにどやされる。一人帰さないと!」
「じゃ、コウジ帰しましょう」
「それがいい。おーいコウジ上がっていいぞ」
もちろん、これはコウジとユカが一緒に上がれるようにした、二人の演技である
当然、コウジは知らない

「店長上がってくださいよ
連勤なんですから」
コウジがこういうと、コウモトはコウジの元に詰め寄った 

「ユカちゃんの気持ち考えろよ」
小声で話した
「わかりました」
そこでようやくコウモトの意図がつかめた