カリスマ美容師は閉ざされた心に愛をそそぐ



 何があったのか、一瞬理解が出来なくて、気が付けば息をハァー、ハァーとあげた、辻本さんが私の目の前に立っていた。


 ふらっと帰ろうとした、私の身体をグッと抱き寄せられ、思考が停止している私は、さっきまで座っていた椅子に座らせられて。


 白いケープを巻かれ、静かな部屋の中ではリズム的に動くハサミの音だけ。


 気が付けば、白い丸い手鏡にスッキリとした、ショートヘアーになった私が写っていた。