あやかし戦記 千年前の涙

その様子にイヅナの心が揺れる。自身の目の前もぼやけ、零れ落ちそうになった刹那、激しい爆発音と共に屋敷が揺れ、溢れかけた涙は引っ込む。

「何！？」

数秒ほどで揺れが収まり、イヅナが耳を澄ませると外で乱闘が起きているようだ。剣がぶつかり合うような音や銃の発砲音、叫び声なども聞こえてくる。

アレス騎士団員同士の乱闘、訓練などではないだろう。嫌な予感がイヅナの中に募る。刹那、エイモンが部屋のドアを開けた。

「イヅナ、大変だ！このお屋敷を大量の妖が襲ってる。多分、ミツヒデ・シノノメたちが改造した妖たちだと思う」

「ッ！すぐに私も行きます！」

ツヤから手を離し、イヅナは薙刀を手に持つ。部屋を出る前、チラリとツヤの方を見ると、ツヤはまだ涙を流している。

「すぐに戻ります」

そう言い、イヅナはドアを閉めて外へと向かった。



外は地獄のような光景となっていた。キョンシー、ミイラ男、天狗、セイレーンなど、百を超えるであろう妖たちが屋敷やアレス騎士団員に攻撃をし、それにアレス騎士団員が応じている。