鬼になってしまったことに戸惑いはなかった。何故かツヤの中に理性は残っており、彼らに対する殺意や憎しみもある。

ミツヒデを殴ろうとしたのだが、イヴァンが体から糸を出してツヤの拳を避けさせる。拳は実験器具が並んだ棚のガラスを突き破り、ガラス片の刺さった拳からは血が流れていく。

「あ〜、ダメじゃない。実験器具壊したら」

イヴァンが近付き、怪我をした手を掴もうとする。その手をツヤは振り払い、イヴァンの腹に蹴りを入れる。

「早ッ!」

床に倒れ込んだイヴァンはそう言いながら呪いの光線を放ち、ツヤは素早く避ける。光線はサタンたちの立っている近くの壁を破壊し、暴れるツヤを取り押さえるために悪魔やイヴァンたちが動き、室内で激しい戦いが繰り広げられる。

だが、一番にツヤが殺したいのはイヴァンたちではない。悪魔たちに守られている男を殺すため、ツヤは高く飛び上がり、ミツヒデを殺そうと鋭い爪のついた手を振り上げる。刹那、ドクンと心臓が締め付けられるような痛みを覚える。