あやかし戦記 千年前の涙

「何が悪魔だ。見た目が怖いだけで弱っちいな!」

ツヤがそう煽るように言うと、イヴァンと戦っていたカスミが顔色を変える。そして「ダメよ!!」と叫んだ。

次の瞬間、ツヤの体は悪魔たちによって吹き飛ばされ、壁に思い切り体を打ち付ける。ツヤはただ遊ばれていただけなのだ。悪魔たちの方がずっと強い。

ツヤは衝撃で意識を失ってしまう。目が覚めた時、地獄のような日々が始まるとは知らずに……。



目を覚ますと、狭い檻の中にツヤは閉じ込められていた。薄汚れた床にぼろ布が敷かれ、その上に寝かされている。そして、カスミが心配そうな目でツヤを見ていた。

「ツヤ、大丈夫?あなた半日も目を覚さなかったのよ……」

カスミの瞳が揺れ、涙が零れ落ちる。ツヤはその頬にそっと触れ、「心配かけてごめんなさい」と素直に謝った。

カスミの両腕には、呪力封じのベルトが付けられており、呪術を使うことはできない。出入り口は南京錠が三つも付けられており、この檻は地下にあるようで窓はなく、脱出することは不可能に近い。

「姉さん……」

「大丈夫、何があっても私があなたを守るわ」

絶望にツヤの心は押し潰されそうになったが、カスミのいつもの微笑みに心が温かくなる。そんな時、「実験始めるよ〜!」と言いながらイヴァンが悪魔を二体連れてやって来る。