あやかし戦記 千年前の涙

「一生そうしてろ！！」

冷たく吐き捨て、ツヤは居間へと戻る。居間の座布団の上には洗濯を終えたカスミが座っており、目の前にはツヤの作った食事が並んでいた。

「……お父さん、今日も食べないのね。お母さんが死んであまり食べなくなったけど、ここ最近は食事を抜きすぎだわ」

「あんな奴、心配する必要なんてないだろ」

心配そうにするカスミにツヤは怒りながら吐き捨てる。ミツヒデとは前以上に関わることがなくなったのだが、何故かストレスは溜まっていく。

「ねえ、ツヤ。お父さんのことを頭ごなしに考えるのはやめましょう？血の繋がったこの世に一人しかいない父親で家族なのよ」

「あたしの家族は母さんと姉さんだけだ」

そうはっきりと言い張るツヤに対し、カスミはどこか寂しそうな目を向ける。刹那、玄関のドアが勝手に開き、嫌な風が入り込む。

「ツヤ！」

目を鋭くさせ、辺りを見たカスミが立ち上がり、ツヤを守るように抱き締める。すると、ツヤとカスミの周りを恐ろしい姿をした怪物が取り囲んだ。

「ヒッ！」