「俺を庇ったせいで若頭がケガをしてしまって……」


本当にすみませんでした、と暁に向けて深く頭を下げる。



……なるほど。
組員を庇って、暁がケガをしたのか。

暁はまわりの人のこともしっかり守ってるんだ。


「ちっとも痛くねぇし気にすんな、って言ったろ。
骨折って美鈴に面倒見てもらえるからラッキー、くらいにしか思ってねぇよ」


暁は頭を下げる組員に対して怒ることはなく、口角を上げて笑う。


骨折してラッキー、なんて思うのはどうかと思うけど……。
治るまで暁のサポートはできることならなんでもしたい。


「おまえも今日は疲れたろ、部屋でゆっくり休め」


暁が組員にそう言うと、やっと顔を上げて。
かと思ったらもう一度深く頭を下げ、謝ってから「失礼します」と出ていった。