「子供のころから、ずっと好きだった。
だから、他の男になんか絶対渡せない」
「……っ!」
侑久らしい、ストレートな愛の言葉に
千沙の心臓が震える。今までの人生に、
こんな幸せな瞬間があっただろうか?
幸せ過ぎて、息が止まりそうだった。
愛の告白に頬をまっ赤に染めながら、
それでも何も答えられずにいる千沙に、
侑久が覗き込むようにして訊く。
「ちぃ姉も、俺のこと好きだよね?」
なぜか問いかけでなく、確認。
普通、こういう時は「好きか、嫌いか」
を問うはずなのに、どうして頭の良すぎ
る幼馴染みは好きだと決めつけるのか?
戸惑いに、千沙は思いきり眉を寄せて
しまう。
「どっ、どうしてそう思うんだ!?」
「だって……向こうの資料室の窓から、
いつも俺のこと見てたし、教室でも、
廊下でも、いつも俺のこと目で追ってた
でしょう?気が付かない方が可笑しいよ」
ぷっ、と吹き出しながらそう言った
侑久に、千沙は口をパクパクする。
まさか、本人に気付かれていたとは。
恥ずかしすぎて顔から火を噴いてしま
いそうだ。
「俺のこと、好きだよね?」
念を押すように、もう一度そう訊いて
きた侑久に、千沙は口籠る。簡単に好き
だと言えるなら、とっくにそうしている。
「たとえそうだとしても……私たちは
同じ人生を歩めない。お前には大きな夢
があって、私には継がなければならない
学園があるんだ。ただ好きなだけじゃ、
どうにもならない」
「じゃあ、学園を継ぐっていう目的の
ためだけに、ちぃ姉は好きでもない人と
結婚するの?どうかしてるよ」
「そうするしかないじゃないか!お前
が一緒にあの学園を継いでくれない限り、
私には選択肢がないんだから!」
「じゃあ、そうする。ちぃ姉と一緒に、
俺もあの学園を守ってくよ」
「……はっ!!!?」
腕の中で、顔をまっ赤にして声を荒げ
た千沙に、侑久はさらりと言ってのける。
共に学園を継ぐということは、宇宙航
空開発に携わるという夢を、アメリカに
渡るという夢をあきらめることになるの
では?涼しい顔をしてそう言った侑久の
顔を、千沙は穴が開くほど見つめた。
「夢はあきらめる。私大受けなおして、
教員免許取ればちぃ姉とこの学園を継げ
るよ。そうすれば、ずっと一緒にいられ
るんでしょう?」
「なっ、なに馬鹿なコト言って……」
「馬鹿じゃないよ。それくらい、夢
と同じくらい、ちぃ姉が大事だってこと。
ちぃ姉をあきらめるくらいなら、夢をあ
きらめた方がマシだからさ」
ツン、と鼻先が痛くなる。
やっと止まったと思った涙が、とめど
なく流れてしまう。
<お知らせ>
いつも拙作をお読みいただき、
誠にありがとうございます。
私事ですが、この度3度目の癌を患い、
(悲しいかな、嘘のような本当の話です)
2/16より入院いたします。そのため、
次回更新までひと月ほど期間が開いて
しまうことを、この場を借りてお知らせ
致します。ご迷惑をお掛けして、
誠に申し訳ありませんm(__)m
体調が回復しましたら、必ず完結まで
執筆致しますので、お待ちいただけると
幸いです。
読者様とご縁をいただけましたこと、
心より感謝致します。
橘 弥久莉
だから、他の男になんか絶対渡せない」
「……っ!」
侑久らしい、ストレートな愛の言葉に
千沙の心臓が震える。今までの人生に、
こんな幸せな瞬間があっただろうか?
幸せ過ぎて、息が止まりそうだった。
愛の告白に頬をまっ赤に染めながら、
それでも何も答えられずにいる千沙に、
侑久が覗き込むようにして訊く。
「ちぃ姉も、俺のこと好きだよね?」
なぜか問いかけでなく、確認。
普通、こういう時は「好きか、嫌いか」
を問うはずなのに、どうして頭の良すぎ
る幼馴染みは好きだと決めつけるのか?
戸惑いに、千沙は思いきり眉を寄せて
しまう。
「どっ、どうしてそう思うんだ!?」
「だって……向こうの資料室の窓から、
いつも俺のこと見てたし、教室でも、
廊下でも、いつも俺のこと目で追ってた
でしょう?気が付かない方が可笑しいよ」
ぷっ、と吹き出しながらそう言った
侑久に、千沙は口をパクパクする。
まさか、本人に気付かれていたとは。
恥ずかしすぎて顔から火を噴いてしま
いそうだ。
「俺のこと、好きだよね?」
念を押すように、もう一度そう訊いて
きた侑久に、千沙は口籠る。簡単に好き
だと言えるなら、とっくにそうしている。
「たとえそうだとしても……私たちは
同じ人生を歩めない。お前には大きな夢
があって、私には継がなければならない
学園があるんだ。ただ好きなだけじゃ、
どうにもならない」
「じゃあ、学園を継ぐっていう目的の
ためだけに、ちぃ姉は好きでもない人と
結婚するの?どうかしてるよ」
「そうするしかないじゃないか!お前
が一緒にあの学園を継いでくれない限り、
私には選択肢がないんだから!」
「じゃあ、そうする。ちぃ姉と一緒に、
俺もあの学園を守ってくよ」
「……はっ!!!?」
腕の中で、顔をまっ赤にして声を荒げ
た千沙に、侑久はさらりと言ってのける。
共に学園を継ぐということは、宇宙航
空開発に携わるという夢を、アメリカに
渡るという夢をあきらめることになるの
では?涼しい顔をしてそう言った侑久の
顔を、千沙は穴が開くほど見つめた。
「夢はあきらめる。私大受けなおして、
教員免許取ればちぃ姉とこの学園を継げ
るよ。そうすれば、ずっと一緒にいられ
るんでしょう?」
「なっ、なに馬鹿なコト言って……」
「馬鹿じゃないよ。それくらい、夢
と同じくらい、ちぃ姉が大事だってこと。
ちぃ姉をあきらめるくらいなら、夢をあ
きらめた方がマシだからさ」
ツン、と鼻先が痛くなる。
やっと止まったと思った涙が、とめど
なく流れてしまう。
<お知らせ>
いつも拙作をお読みいただき、
誠にありがとうございます。
私事ですが、この度3度目の癌を患い、
(悲しいかな、嘘のような本当の話です)
2/16より入院いたします。そのため、
次回更新までひと月ほど期間が開いて
しまうことを、この場を借りてお知らせ
致します。ご迷惑をお掛けして、
誠に申し訳ありませんm(__)m
体調が回復しましたら、必ず完結まで
執筆致しますので、お待ちいただけると
幸いです。
読者様とご縁をいただけましたこと、
心より感謝致します。
橘 弥久莉



