「凄い、いい匂い」

彼女は僕を押し倒すと、首筋に顔を近づけクンクンと匂いを嗅いでいる。

……えっと。
なにがどうしてこうなった?

その日は友達と彼女と三人で鍋パーティだった。
けど、友達は急なバイトの呼び出しで早々に帰り、彼女とふたり。
なんとなく気まずくて、ずっと無言で飲んでたんだけど。

……気が付くと僕の背中には床。

「この匂い、だーい好き」

「ひゃぁっ!」

ぺろんと首筋を舐められて、変な声が出た。
引き離そうとするんだけど、華奢な彼女に似合わない力で押さえつけられていて、びくともしない。

「ほんといい匂い。
食べちゃいたいくらい」

見上げた彼女の瞳は怪しく光ってる。
首筋に顔を近づけたかと思ったらまた舐められた。
「ほんともう、勘弁して!」

「……すうっ」

ぐったりと肩にもたれ掛かってきた彼女は、気持ちよさそうに寝息を立てていた。